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[2004.12.05]
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実のある自害
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▼IBM's PC business reportedly for sale(Computerworld)【英語】
http://www.computerworld.com/hardwaretopics/hardware/story/0,10801,98035,00.html
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20年前,IBMにハンマーを投げつけて社会を変えようとしたのは,アップルだった(過去記事)。だがIBMはいま,自らの脳髄をハンマーでぶち壊して,将来をみすえている,感じがする。
quote:IBM社が中国最大のパソコンメーカーであるレノボ・グループ社などに対し,パソコン事業の売却を進めているとニューヨーク・タイムズ紙が報じた。1981年から続けてきたIBMのパソコン事業はずっとIBMのビジネスの基礎だったが,ここ数年は影が薄い。現在IBMのパソコン出荷台数はデル社,ヒューレット・パッカード社に次ぐ3位だが,「IBM社は1位,または2位でビジネスすることを好み,3位は好きではない」と述べるアナリストもいる。また,パソコン事業の売却は愚かで意味がないと述べるアナリストもいる。
つい先日,ガートナーが2007年までにパソコンベンダートップ10社のうち,3社がパソコン事業から撤退すると報じていた(Sankei Webの記事)。その矢先のIBMのこの動きは,偶然すぎると云えば偶然すぎる。わたしはIBMのパソコンを使ったことがないけど,日本のパソコン市場をNECのPC-98から世界標準となるDOS/Vに激変させた張本人であるIBMもみていたし,なにより真紅パッドもといシンクパッドが消えると云うのも感慨深い。
1984年にアップルにビックブラザー扱いされたほどの勢力を誇っていたIBMがパソコン市場から消えるというのは,やはり大きな状況の変化を表すものだろう。だが個人的な考えでは,いまのうちにパソコン販売から足を洗うのは非常に賢いと感じる。数年後には,パソコンのなかは空になる。ハードディスクも必要ないし,各デバイスも最低限の構成でよくなり,あとはネットワーク上にすべて置換される。中身が空なんだから,価格も数千円程度になる。そんな日用品が世界的なビジネスとして成立するわけはない。IBMはネットワークをよく知っており,あのときのパソコン撤廃は最高の正解だった,と,将来思い起こされることになるだろう,きっと。
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